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ブログ/2018-04-15

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地下水位は難しい

2016年3月15日付のMHK工房ブログで「君が測っているのは地下水位?」という問いがありました。読んでなお難しかったかもしれません。実は、地下水を議論するとき、ほかにも難しいいくつか問題があります。

特に、地下水位の表示方法が単純ではないのです。地下水位の図を調べてみると、縦軸に地下水位、横軸に時間の単位を表したものが多くみられます。その縦軸、良く見るとGL, TL, EL, T.P., A.P. などの表示とともに測定データ曲線が記載されています。一体、これらの記号は何を意味するのでしょう?辞書や専門書をひも解いても、総合的な説明を見つけるのはとても困難です。

今回、私はどうしてこんなにいろいろな記号が使われるのかを調べてみました。まず、これらの定義を表にしてみました。

地下水位表示   何の略語か       定義    
  GL    Ground-water Level   地表面から地下水面までの
                   深さ
 (注:多くは地表面からの深さだが、測水管の上端からの深さを記載することもある。)

  TL   Tidal-water Level    潮位を基準とした地下水面
                   高さ(深さ)
 (注:潮位は平均的な海面よりかなり下の潮位観測基準面をさすようである。)

  EL   Elevation         標高
 (注:永田町憲政記念館前にある「日本水準原点」からの高さをいう。国土地理院の前身である参謀本部陸地測量部が1891年に設置したという。)

  T.P.   Tokyo Peil      東京湾中等潮位からの高さ(深さ)
 (注:Peilは、オランダ語の「水準線」「基準」を意味する。「海抜」と同義語。)

  A.P.   Arakawa Peil   荒川工事基準面からの高さ(深さ)
 (注:荒川工事基準面は東京都中央区新川にある霊岸島水位観測所の最低水位。)

こんなにたくさんあること、知ってましたか?

農学、土木工学、地すべり関係者などは、地下水面をGLで理解しますが、地理学や地下水学の方々はT.P.を表示する場合が多いです。そして実用上はEL(標高)=T.P.(海抜)として良いそうです。港湾付近の工事ではA.P.が便利とも言われています。いろいろな土地の地下水データを調べて比較しようとすると、どれがどれだか分からなくなることがあります。たとえば、東京都の地下水位長期変動の図を調べてみると、同じグラフの中にGLデータとT.P.データが混在していることがありました。これでは比べられないと困惑しましたが、そのT.P.データは、東京都江東区の標高がほぼ0mに近い土地で測定されたことがわかり、これならGL≒T.P.とみなしても良いかな、ととりあえず納得しました。勿論、標高の異なる土地で測定したらこの近似は成り立ちません。

要は、専門分野によって「地下水位」の常識が異なるようなのです。「枠の外から考えろ、Think outside the box」とよく言われますが、こうしたところにも専門の枠があり、枠を外したり枠の外に出て考えたりすることの難しさを実感します。

そもそも、説明に使われる「潮位」もはっきりしないのです。ブリタニカ国際大百科事典によると、「潮位Tide Level, TL」とは、「一定の基準面から測定した水位から風浪,うねりなどの短い周期の海水面の上下変動を取除いた水位」ということになり、さらに「日本では理論上の基準面を海面の基準面 (基本水準面) にとる。これはほぼ最低潮位にあたる。」と解説されます。確かT.P.は中等潮位からの高さだから、TL最低潮位とは違うのだな?と考え始めると、分かるような、分からないような、もやっとした所があります。

さあ、結論です。土壌物理学を標榜するMHK工房としては、地下水位はGLのこと、と単純に理解したいと思います。土壌物理的な地下水の議論では、ほかにも興味深いテーマがあります。それは、リッセ効果、逆ウィーランゲ効果です。論文がありますので、よろしかったらご参照ください。(M)

http://journals.atlas-publishing.org/index.php/JSWSM/article/view/132/131

・・・・ 過去のブログ記事・・・・

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